海外へ移民した日本人の子孫(いわゆる日系人)の日本における法的地位について、まとめていきます。
<日本人を親とする子の国籍について>
まず、国籍の問題です。
昭和59年(1984年)改正前の国籍法では、原則としてその子の出生時点で父が日本国籍を有する場合に、その子は日本国籍を有することとなっていました。
この点は改正があり、現行法では、父だけでなく母もその子の出生時点で日本国籍を有する場合には、その子は日本国籍を取得するのが原則となっています(国籍法2条1号2号)。
しかし、これらの規定により本来日本国籍を有する子であっても、日本国外で生まれた子については、かなり異なった取り扱いがなされています。
つまり日本国籍を留保する意思を表示しなければ、日本国籍を喪失してしまうのです(同法12条)。
これを国籍留保制度といいます。
この制度は、国籍法大正13年(1924年)改正により誕生しました。
日系移民の排斥運動が盛んだった時代に、現地での反感を和らげ、同化を促進するために、それまでの国籍離脱許可制度を改めて誕生した制度だったようです。
当時はこの制度の適用される対象国が勅令によって指定されており、アメリカ、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、ペルー、およびメキシコが、その対象となっていました(その後変遷を経て、現在はすべての国に適用されています)。
国籍留保の具体的な手続としては、父母などがその国に駐在する日本の大使、公使または領事に、出生の日から3か月以内に、出生の届出とともに、これをします(戸籍法104条、40条、52条)
なお、この留保をした上で現地の国籍も有するといった場合には二重国籍となりますが、わが国の国籍法では、原則として22歳に達するまでに、いずれかの国籍を離脱しなければならないと定めています(国籍法14条)。
ところで、3か月以内に国籍留保の届出をしなかった場合、その子は日本国籍を失いますが、その後にやはり日本国籍を取得したいと思ったときのため、救済制度も設けられています。
それを国籍の再取得といいます。国籍留保をしなかった者で20歳未満の者が日本に住所を有するときは、法務大臣に届け出ることによって、日本国籍を取得することができるというものです(国籍法17条)。
このように、日本国籍を再取得するためには、日本に住所を有することが国籍取得の条件となっています。
このような場合も含め、そもそも日本国籍を有しない日系人の方々は、どういう法的な資格で日本に入国すればいいのでしょうか。一般の外国人とまったく同じような取り扱いなのでしょうか。
次は日本に長期滞在するための法的な制度を見ていきます。




